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なぜ彼らは「賢者」なのか
以前、絵が美しいということで紹介した「賢者のおくりもの」。



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いい本です



今回は内容について触れてみようと思う。
ネタバレしまくりなので、その点を注意していただきたい。
以前紹介したときは、この本の絵の部分だけを評価する記述であった。
確かに僕は絵を重視しているが、物語を蔑ろにしているわけではない。
単に説教くさい絵本が大嫌いなだけである。
絵本を作者の思想を伝えるプロパガンダにしてはいけないと思っているだけだ。
物語が素晴らしいに越したことはない。



「賢者のおくりもの」は、
貧乏な夫婦が互いに贈るクリスマスプレゼントを買うために、
それぞれが大事にしてしているものを売ってしまう話だ。
妻は美しい髪を売って夫のために時計鎖を買い、
夫は家宝の時計を売って妻のためにくしを買った。
それだけの話である。

自分の大事なものを失ってまで手に入れたのに、全く無駄なことだった。
この二人の行動を愚かだと思うだろう。
この二人を愚か者と思うだろう。
僕も彼らに対して「ご利用は計画的に」と思ったものだ。



確かに作者は最後のページにこう書いている。

わたしがつたなくも物語ったのは、
アパート住まいの、ふたりのおろかなる子の、
変哲もないエピソードです。
おたがいのために、わが家のなによりの宝を犠牲にしてしまった、
愚の骨頂ともいうべき人々です。


しかし、作者の伝えたかったことはこんなことではない。
この本は以下の文章で締めくくられる。

だが、最後に現代のかしこい人々にひとこと言わせていただくとすれば、
およそおくりものをする人々のうち、
このふたりこそは、もっともかしこかったのです。
なべて贈答のやりとりをする人々のうち、彼らみたいな人々こそが最高です。
どこに住んでいようと、かしこさはかわりありません。
彼らこそ賢者なのです。




「愚の骨頂」とまで呼んでいたのに、最後には「賢者」になっている。
これはどういうことだろう。
なぜ彼らは「かしこい」のか、それを考えるのがこの本の大事なところである。
(僕にとって一番大事なのは絵そのものだが)

子供に「何がたいせつなのか」を考えさせるには適当な物語といえる。
「なぜ彼らは賢者なのか」というテーマで読書感想文ができそうだ。



こう考えると、結構教育じみていて説教っぽい。
となると「説教くさい絵本が嫌い」という僕の発言が矛盾してしまう。

しかし、僕が嫌いなのは
「戦争ってよくないYO!」
「思いやりの心を持とうZE!」
「僕らは宇宙船地球号の乗組員なんDA!」
といったあからさまなメッセージを持つ絵本だ。
もう、胡散臭くて胡散臭くて。

この本のような、
「実は考えさせられる本」というのは
物語に深みを持たせている点で評価できる。
荒唐無稽な絵本も大好きだけど。



なぜ彼らが「賢者」なのか、僕はこう考えた。

確かに、自分の宝物を手放してまで贈り物をするというのは愚かだといえる。
しかし、その贈り物が相手に最もふさわしいと思ったからこそ取った行動なのだ。
贈り物で大事なのは贈る相手のことを考えること。
それを作者は伝えたかったのではないだろうか。
彼らの行動は「かしこい」、彼らこそ「賢者」なのだ、と。
みんな、もっと考えてプレゼントしようぜ。
頼むからパイナップルのボールペンとかやめてくれよな!




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僕の去年のクリスマスプレゼント





【2007/05/27 18:30 】
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